News Release

2017年 8月 4日
 一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター


ヒートポンプ普及拡大による
一次エネルギー及び

温室効果ガスの削減効果について

 
 一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター(東京都中央区、理事長:小宮山 宏)は、再生可能エネルギー源の利用技術であるヒートポンプ・蓄熱システム※1の普及拡大に取り組んでおります。
  近年パリ協定など国内外問わず、脱炭素社会・低炭素社会等2050年度に向けた長期目標や取組みへの関心が高まっております。ヒートポンプの将来像を分析し、ヒートポンプ普及拡大に伴う一次エネルギー及び温室効果ガスの削減効果を試算いたしました。
 上記の削減効果は、日本の約束草案のの2030年度CO2削減目標の7%2050年度に向けての野心的な目標の約7%と、ヒートポンプ普及拡大による効果が大きい結果となりました。

〇ヒートポンプの普及拡大による一次エネルギー及び温室効果ガスの削減効果

 ヒートポンプの将来像の分析として、技術開発の動向やヒートポンプ機器の適用分野等を整理の上、ヒートポンプの普及見通しを行いました。具体的には、民生部門(家庭および業務部門)や産業部門の熱需要を賄っているボイラなどをヒートポンプ機器で代替した場合、一次エネルギー及び温室効果ガスの削減効果※2(2015年度BAU比※3)は下記のとおりです。

        2030年度:▲    815万kL、▲2,174万tCO2
        2050年度:▲2, 348万kL、▲7,019万tCO2 

 この値は、日本の約束草案(平成27年7月)のCO2削減目標であります2030年度▲26%(うちエネルギー起源によるCO2削減量3.08億tCO2)の7%に匹敵します。
 一方2050年に向けては、パリ協定における2℃目標達成のため2050年までの長期的な温室効果ガス排出削減目標としての▲80%(約9.5億tCO2)に対して、ヒートポンプ普及拡大による影響は約7%です。また、海外においても近年、ヒートポンプ技術への関心が非常に高まっており、国内のヒートポンプの普及拡大は当然ながら、日本メーカの高い技術力を活かした高効率ヒートポンプの世界各国への普及拡大により、より大きなCO2削減効果が見込めます。            

 ※1 ヒートポンプとは、空気など自然界に存在する「熱」を活用して冷暖房や給湯などに利用する再生可能エネルギー源を利用した技術で、従来の燃焼方式を代替することで地球温暖化防止に寄与します。また蓄熱システムを併用することにより、電気需要平準化時間帯の電力消費を抑制し、需要側だけでなく供給側のニーズにも応じた運用(ディマンドリスポンス等)などが可能となります。

 ※2 CO2排出量算定においては、2015年度(基準年度)は「電気事業のデータベース(電気事業連合会)」の電気事業低炭素社会協議会実績値の0.530[kg-CO2/kWh]、2030年度は「電気事業における低炭素社会実行計画(電気事業連合会)」で目標とされた0.370[kg-CO2/kWh]、2050年度は「超長期エネルギー技術ロードマップ報告書(エネルギー総合工学研究所)」の想定値である0.120 [kg-CO2/kWh]を使用しています。 

 ※3 BAUとは、特段の対策の無い自然体ケース(Business As Usual)。ここでは2015年度の各ヒートポンプのストックシェア及びフロー効率が将来にわたって一定と仮定した現状固定ケース。 

 
ヒートポンプ普及拡大に伴う一次エネルギー及び温室効果ガス削減効果の内訳(対象年度・用途別)

  
基準年度(2015年度BAU)に対し、ヒートポンプが普及拡大した場合の、業態別(家庭用・業務用・産業用・農業用・その他)および用途別(給湯・空調・加温・融雪等)における一次エネルギー・温室効果ガスの削減効果の内訳を以下に示します。
  
                                   
 
各業態や各用途で適用できるヒートポンプ機器の市場導入年や普及曲線の違いにより、一次エネルギー削減効果が顕在化する時期は異なりますが、ヒートポンプの普及が進めば大幅な省エネルギー及び省CO2が可能となります。
なお、今回の試算における過年度検討からの主な変更点は以下の通りとなります。
 ・基準年度を2015年度に変更
 ・2050年度までの見通しに延長
 ・ヒートポンプの直近の導入状況を反映した普及曲線に修正
 ・ヒートポンプの直近の効率を加味した効率推移のもとで算定
 ・吸収式冷凍機からチリングユニット、ターボ冷凍機への代替効果を加味
 ・チリングユニット、ターボ冷凍機、パッケージエアコンの更新時の効率改善効果を加味
 ・融雪用のヒートポンプ導入による削減効果を加味

その他、需要想定やヒートポンプの普及率設定、算定など詳細な考え方については、下記添付資料をご参照ください。
            
    
【添付資料1】 ヒートポンプの将来像分析及び普及見通し調査
    【添付資料2】最終消費エネルギーと温室効果ガスの基準年度(BAU含む)との比較  
           【印刷用】本ニュースリリースのPDF形式

                                                            

                  
この件に関するお問い合わせ先
一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター 担当 曽我
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TEL.03-5643-2402  FAX.03-5641-4501