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氷蓄熱式空調システムについて、氷を作って、どういうシステムでそれを冷暖房に利用するのですか。

氷蓄熱式空調システムは水槽に氷を作り、その氷を溶かして冷水を作ったり、またはエアコンの冷媒を冷やすことにより冷房を行うシステムです。大きくは(1)セントラルタイプ(2)個別分散タイプの2つに分けられます。

(1)セントラルタイプ

・氷の蓄え方により更に以下の2方式に分けられます。

(1)水槽の中にコイルを通し、コイルの中に冷凍機で冷やしたブラインを循環させコイルの周りに氷を作る方式(スタティックタイプと呼ばれています)

・この方式は、冷房時にはコイルに暖かいブラインを通して氷を溶かし、それで冷えたブラインを更に水と熱交換して冷水を作る内融式と呼ばれるタイプと、水槽の水を循環して外からコイルの氷を溶かして冷水をつくる外融式と呼ばれるタイプがあります。

(2)冷凍機でシャーベット状または板状の氷を作り水槽に蓄える方式(ダイナミックタイプと呼ばれています)

・この方式は、水槽の水を循環して外から蓄えた氷を溶かして冷水をつくり冷房に利用します。

(3)その他カプセルに水等を封じ込め、これを凍らせて氷を蓄えるなど様々なタイプがあります。

(2)個別分散タイプ

・このタイプはパッケージエアコンやビル用マルチエアコンに応用したもので、これは、室外機のとなりに水槽を設け、その水槽に冷媒回路の一部としてコイルを設置しています。このコイルに冷えた冷媒を通し、氷をつくり、冷房時には逆に冷媒を冷やす仕組みとなっています。

以下に個別分散方式の運転フローを紹介します。

製氷運転
蓄熱利用冷房運転

氷が無くなると冷媒は蓄熱槽内をバイパスし、通常のエアコンと同じ運転サイクルとなります。

蓄熱非利用冷房運転(解氷後)

図のように氷蓄熱システムは通常のエアコンと同じサイクルで冷媒を循環させて運転を行いますが、そのサイクルの途中に水蓄熱槽を加え、夜間冷房運転しない時間に氷を蓄えます。その氷の冷熱を利用し昼間冷房運転を行う時に冷媒を過冷却(冷房能力を増強します)するため、同じ能力のエアコンであれば少ない電気(小さい機械)で運転ができるためランニングコストが安くなります。

そこで暖房は?とのご質問で、図の中で室外機の部分に「温風が出ます」と表示しておりますが、一般の家庭用エアコンでも夏場に部屋を冷やすと室外機から温風が出ており。これはエアコンがヒートポンプと言われているように熱を運ぶ機械で室内の熱を奪い(冷房)室外に放出(暖房)しています。このサイクルを逆回転させることにより室内機で暖房を行います。以下に氷蓄熱システムの暖房フローを示します。

蓄熱(温水蓄熱)運転【夜間】
温熱利用暖房運転【運転開始時】

蓄熱システムの特長は夜間作った温水を利用し日中の暖房運転時に温水を利用します。これは冬場の外気温度が低い時、室外機で冷房運転を行いますが、室内で暖める温度と室外で冷やす温度の差が大きくなると、より大きな力(消費電力が多くなる)が必要となりますが、温水の中は温められているため温度差が小さく、小さな力(消費電力が少なくなる)ですむ(同じ電力で大きな力が出せる)という特長があります。冷房同様温水が無くなってしまうと通常のエアコンと同じサイクルで暖房運転を行います。