蓄熱式給湯設計のポイント

業務用ヒートポンプ給湯システム設計における注意点を紹介します。
詳細な内容については、当センター発行の「業務用ヒートポンプ給湯システム設計ガイドブック」を参照ください。

※業務用ヒートポンプ給湯システム設計ガイドブックについて
ヒートポンプ給湯システムは、主に蓄熱式を採用していることから日給湯使用量の算出、さらに時刻別給湯負荷を想定して
熱源機の加熱能力や貯湯槽容量を計算するなど、燃焼式給湯システムとは異なった計算手法が必要となります。
しかし、その計算手法や設計資料はまだ十分とはいえないため、それらの解説を行うため
ヒートポンプ・蓄熱センターでは「業務用ヒートポンプ給湯システム設計ガイドブック」を発刊しています。

業務用ヒートポンプ給湯システム設計における注意点10ヶ条

  1. 寒冷地で採用・設置する場合は留意する。
    最低気温による設置可否、低外気温地域での貯湯槽設置位置、配管類の凍結対策に特に留意する。
  2. 配管・貯湯槽の仕様は吟味して選ぶ。
    CO2冷媒の熱源機周り給湯温度は90℃のため、材料の耐熱性および断熱仕様には配慮する。
  3. 給水水質・供給圧力に関しては注意を払う。
    熱源機給湯温度が90℃と高温のため、水質は水道水程度が望ましく給水圧力もメーカーの許容値に留意する必要がある。
  4. 使用場所への給湯温度は留意して決定する。
    CO2冷媒の90℃直接給湯を避け、レジオネラ対策を考慮した安全な給湯温度である60℃を確保する。
  5. 熱源機はピーク負荷で選定せず、負荷パターンと貯湯槽のバランスで選ぶ。
    過大な機種選定になるし、高い給水温度によっては加温できないので注意する。燃焼式機器との大きな違い。
  6. 熱源機の選定には追い掛け運転を考慮してイニシャル・ランニングコストのバランスを取る。
    空気熱源機独特の負荷と能力が相反する関係にあるため、ピーク時の全蓄熱式で選定するとイニシャルコスト高となる。
  7. 熱源機の能力はメーカーのカタログ値を吟味して選定する。
    外気温度による能力変化が顕著なため寒冷地などの低外気温や、デフロスト時の能力低下に十分配慮する。
  8. 熱源機の追い掛け運転にはデマンドを考慮して同時稼働台数を考慮する。
    全蓄熱のシステム構成でない場合は昼間の追い掛け運転が必要となるが、特に夏場はデマンドを考慮して稼働台数を制御する。
  9. 熱源機の特性から適正な余裕を見込んだシステム設計とする。
    建物用途による給湯負荷パターンの不確実性や外気温による機器の能力変動からの余裕をある程度見込む。
  10. 熱源機の設置場所に関しては注意を払う。
    エアコン室外機と同様に周辺障害物との離隔を十分に確保する。雪、枯れ葉、塩害などの影響も考慮する。

業種ごとの時刻別負荷パターン

業務用ヒートポンプ給湯システムは貯湯式を採用していることから、日給湯負荷と時刻別給湯負荷を算出し、給湯バランス図を作成する必要があります。
ヒートポンプ・蓄熱センターでは「福祉施設」「病院」「ビジネスホテル」「ホテル」「飲食店」「ゴルフ場」といった業種ごとの時刻別給湯負荷の実測データを収集いたしました。オペレーションによって差が出るものの、業種ごとの特徴等参考になると思います。下記に掲載しますので、設計にご参考ください。

≪サンプル≫

    

 

業種ごとの時刻別負荷パターン

実測データ代表例

下記に実測データの代表例を掲載いたします。ヒートポンプ・蓄熱センターの賛助会員になって頂きますと、案件ごとの実測データの詳細を賛助会員用ホームページにてご覧いただけます。
①寮(6地域:ヒートポンプ給湯機:180名)

給湯熱バランス図

業務用ヒートポンプ給湯システムの設計には給湯熱バランス図を作成する必要があります。熱バランス図を作成するツールとしてExcelファイルを掲載しますのでご活用ください。

給湯熱バランス図