年間負荷とソート図の読み方

コラム5-1図3

図-1に日積算負荷の年間降順表示と代表日の蓄放熱状況を示します。コラム5-1で概念図として示した図です。なお図中の色分けは、蓄熱運転を行なった22時~8時を青色に、放熱(と追い掛け運転)を行った8時から22時までを橙色にしてあります。

この事例における蓄熱依存度は、ピーク日の日積算負荷が約1200GJ/日(図-1の①)に対して蓄熱可能熱量が670GJ/日(図-1の②)なので約55%になります。さらに、コラム5-1の図3に示した蓄熱依存度と年間夜間移行率の関係から、この蓄熱依存度を読み取ると、年間夜間移行率は約80%になります。

図-1

※グラフをクリックすると拡大表示されます(以下同)

これに対して実際の運用結果を見てみますと、670GJ/日以下の日において、昼間の運転が発生しているにも関わらず、実際の年間夜間移行率は82.5%(図-1の③)であり、コラム5-1の様な概念図による結果よりも年間夜間移行率が向上する傾向となっています。

これは、実際の年間降順表示は直角三角形の形ではなく斜辺が少し凹むため、実際にはより蓄熱の効果が顕在化するためです。なお、蓄熱で十分まかなえる時期における昼間の運転は、検査・メンテナンスや運用上の都合によるものです。

図-2(a)に日積算負荷100%(ピーク日)の蓄放熱の状況を示します。ピーク日においては、夜間に可能な限り蓄熱を行い、昼間の運転と放熱により、時間積算負荷をまかなっていることが分かります。

また図-2(b)に示す日積算負荷40%(中間期)と、図-2(c)に示す日積算負荷5%(冬期)においては、日積算負荷に対して、昼間の蓄熱槽からの放熱分の占める割合が増え、昼間の熱源運転が無くなります。

図-2 図-3 図-4

ここでポイントとなるのが、蓄熱運転時間(図中青の部分)の減り方です。昼間に必要な量以上に蓄える必要はありませんので、必要量を、夜間のうちに安定した定格出力でかつ短時間に蓄熱することが可能となります。

従って、年間の全ての日を対象として、放熱量をうまく制御することで、夜間の蓄熱運転時だけではなく、昼間の運転時においても、熱源機を負荷形態に合わせて変動させる運転をすることなく、熱源機は定格出力で運転しています。

※定格出力と記述しましたが、最高効率点における熱源の運転が理想的であり、それが適用可能な近年開発されたインバータ制御の熱源機の場合については、別の機会に説明します。

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