当センターを代表して一言ご挨拶を申し上げます。
世界各国において、地球温暖化対策の取組は、加速されようとしています。我が国でも、2050年度までのカーボンニュートラル実現への挑戦を背景に、2030年の温室効果ガスの削減目標を大幅に引き上げることが表明されました。この高い目標を実現するためには、再生可能エネルギーの導入やそのために必要な電力需給バランス維持に対する取組をさらに加速していく必要があります。第6次エネルギー基本計画においても、再生可能エネルギーの主力電源化の徹底や需要サイドにおける省エネルギー、エネルギー使用の合理化等さらなる取組強化が求められ、その実現に向け、昨年4月に施行された改正省エネ法においては、非化石エネルギーも含めたエネルギー使用の合理化等、脱炭素社会の実現に向けた抜本的な措置が講じられることとなりました。
再生可能エネルギー熱を利用し熱エネルギーを生み出す「ヒートポンプ技術」の社会貢献の可能性は極めて大きいものです。「ヒートポンプ・蓄熱システム」は電気の需要の最適化をすることができ、省エネルギー性・環境性に優れ、非常災害時には蓄熱槽水を消防用水や生活用水として活用することもできます。
近年、太陽光発電など再エネ電源の活用に向けて、需要家側が電気需要を調整するディマンドリスポンスの必要性も高まってきています。需要サイドのディマンドリスポンスを実現する上でも「ヒートポンプ・蓄熱システム」は極めて有効であり、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、重要な役割を果たすものです。
「ヒートポンプ・蓄熱システム」は、効率よく熱エネルギーを蓄積し、必要な時に取り出すシステムとしても使えるため、需要の創出と需要の抑制の双方に寄与することが可能で、改正省エネ法に対応するための有効な手段です。こうした背景で昨年8月には、家庭用給湯機「エコキュート」が、出荷台数900万台を突破し、家庭分野でも「ヒートポンプ・蓄熱システム」の導入が進んでいます。
これからも「ヒートポンプ」と「蓄熱」に関する我が国唯一のナショナルセンターとして、「カーボンニュートラル実現の切り札」である「ヒートポンプ・蓄熱システム」の導入が国内・国外含め幅広い分野で普及拡大していくよう最大限の努力を払って参りますので、当センターの活動へさらなるご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、皆様のご繁栄とご健勝を祈念申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
2024年1月
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