プレスリリース

2015.01.16

ヒートポンプ普及拡大による一次エネルギー削減効果について

一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター(東京都中央区、理事長:小宮山 宏)は、省エネルギー・温暖化対策に大きく寄与し、欧州では再生可能エネルギー利用機器とされるヒートポンプ・蓄熱システム※1の普及拡大に取り組んでおりますが、この度、2040年度までのヒートポンプ機器の普及見通しを想定するとともに、普及拡大に伴う一次エネルギー削減効果を試算いたしましたので、その結果をお知らせします。

※1ヒートポンプとは、空気など自然界に存在する「熱」を活用して冷暖房や給湯などに利用する​再生可能エネルギー利用技術で、従来の燃焼方式を代替することで地球温暖化防止に寄与します。
また、蓄熱システムを併用することにより、電気需要平準化時間帯の電力消費を抑制し、需要側だけではなく供給側のニーズにも応じた運用(デマンドレスポンス等)などが可能となります。

ヒートポンプ普及拡大による一次エネルギー削減効果

民生部門(家庭および業務部門)や産業部門の熱需要を賄っているボイラなどをヒートポンプ機器で代替した場合、
一次エネルギー削減効果(括弧内は原油換算値)は

  • 2020年度:▲283千TJ(▲0.73千万kL)
  • 2030年度:▲697千TJ(▲1.80千万kL)
  • 2040年度:▲902千TJ(▲2.33千万kL)

いずれも2012年度比

となりました。
これは、2012年度の一次エネルギー供給(運輸含む)に対し、少なくとも約3.5%の削減(2030年度時点)を意味しており、ヒートポンプの普及拡大つまり熱利用分野の取り組みだけで、非常に大きな省エネルギー効果が得られる結果となりました。
また、2012年度の国内最終エネルギー消費に与える影響※3は、

※3いずれも2012年度比とし、各エネルギー消費量の熱量換算においては、二次エネルギー換算にて算定

と算定され、民生・産業部門全体の最終エネルギー消費に対し、8%以上(2030年度時点)の削減効果が見込まれます。

ヒートポンプ普及拡大に伴う一次エネルギー削減効果の内訳(対象年度・用途別)

基準年度(2012 年度)に対し、ヒートポンプが普及拡大した場合の、業態別(家庭用・業務用・産業用・農業用)および用途別(給湯・空調・加熱等)における一次エネルギー削減効果の内訳を以下に示します。

各業態や各用途で適用できるヒートポンプ機器の市場導入年や普及曲線の違いにより、一次エネルギー削減効果が顕在化する時期は異なりますが、想定通りヒートポンプ機器の普及が進めば大幅な省エネルギーを達成することが可能となります。
なお、今回の試算における過年度検討からの主な変更点は以下の通りとなります。

  • 基準年度を2012 年度に変更(2012 年度からの削減量を算定)
  • 2040 年度までの見通しに延長
  • ヒートポンプ機器の直近の導入状況を反映した普及曲線に修正
  • ヒートポンプ機器の直近の効率を加味した効率推移のもとで算定
    (一部の機器においては、期間効率(APF、年間給湯保温効率など)に変更)
  • 家庭用エアコンおよび業務用ビルマルチについては、既存のヒートポンプ機器を最新の機種に更新することによる効率向上に伴う省エネルギー効果も追加

その他、需要想定やヒートポンプの普及率設定、算定など詳細な考え方については、別添資料をご参照ください。

この件に関するお問い合わせ先

一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター 担当 渡邊、宮下
〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1丁目28番5号
ヒューリック蛎殻町ビル6階
TEL.03-5643-2402 FAX.03-5641-4501