推計結果として、表-1の現状固定シナリオ※2では「将来の世帯数の減少」と「建物断熱性能の向上」の試算条件より、ヒートポンプの処理熱量が低減し、2020年度から2050年度にかけてヒートポンプによる再エネ熱利用量が低減する結果になりました。
一方、表-2の高位シナリオ※3では、処理熱量の低減トレンドを前提としても、ヒートポンプの普及拡大により、ヒートポンプ利用による再エネ熱利用量が増加する結果になりました。
経済産業省資源エネルギー庁のエネルギー需給実績から、2020年度の民生部門と産業部門の最終エネルギー消費量の合計値が9,391PJ※4となります。
一方、推計した民生部門と産業部門の再エネ熱利用量の合計値は2020年度1,460PJ※4で、これは民生部門と産業部門の最終エネルギー消費量の合計値9,391PJ※4の約16%に相当します。
また、CN達成シナリオ※3の2050年度時点では再エネ熱利用量の合計値は2,093PJ※4となり、これは2020年度の最終エネルギー消費量の合計値9,391PJ※4の約22%に相当します。
電気だけでなく石油等も考慮した最終エネルギー消費量に対する割合であっても、再エネ熱利用量の割合が大きいことが分かります。
表-1 ヒートポンプによる再エネ熱利用量(空気熱利用量)※1 現状固定シナリオ※2 PJ※4
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2020年度
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2030年度
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2050年度
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現状固定シナリオ※2合計
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1,460
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1,442
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1,320
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給湯
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82
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85
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77
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暖房
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806
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796
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728
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冷房
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572
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561
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515
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表-2 ヒートポンプによる再エネ熱利用量(空気熱利用量)※1 高位シナリオ※3 PJ※4
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2020年度
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2030年度
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2050年度
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高位シナリオ※3 合計
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1,460
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1,728
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2,093
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給湯
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82
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256
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620
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暖房
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806
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902
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942
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冷房
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572
|
570
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531
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エネルギー自給率の観点では、再エネ熱利用量を加味した場合、2020年度のエネルギー自給率は11.2%
(IEA基準発熱量による経産省公表値)から18.5%(+7.3pt)になることを推計しました。