News Release

令和6年7月10日
 一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター


住宅設備のCO2排出量およびコストの試算結果を踏まえた
ヒートポンプ給湯機の訴求



 当センターは、戸建・集合住宅の設備のエネルギー消費量・CO2排出量ならびにコストに関する試算を行うとともに、日本全体における住宅用ヒートポンプ給湯機の普及による省エネ省CO2効果の試算を行いました。このたび、これらについて公表いたします。

〇戸建・集合住宅の試算

 地球温暖化対策計画では2030年度の全電源平均・電力排出係数0.250kg-CO2/kWhが設定されています。本係数のもと、戸建・集合住宅の将来のCO2排出量を試算しました。
 次に比較対象として、2020年度※1のCO2排出係数※2を用いて、CO2排出量を試算するとともに、住宅設備のイニシャル・ランニング・トータルコスト※3の試算を行いました。
 なお、CO2排出量やランニングコストの試算に使用する住宅のエネルギー消費量は、Webプログラムをベース※4に試算しており、将来のZEH実現に向けた参考になります。

 ▷試算結果の概要(※本試算の試算パターン※5による結果)
  【戸建住宅】(図1,2)
   ・2030年度の試算では、ヒートポンプ給湯機が他の給湯器を使用する住宅よりも省CO2で、ヒートポンプ給湯機
    の昼沸き上げ(以下、昼沸)の住宅が最も省CO2でした。
   ・比較対象の試算では、ヒートポンプ給湯機「昼沸」の住宅が最も省CO2であることは変わらず、トータルコス
    トにおいても優位な結果になりました。
  【集合住宅】(図3,4)
   ・2030年度の試算では、戸建住宅同様ヒートポンプ給湯機の住宅が他の給湯器を使用する住宅よりも省CO2で
    した。
   ・比較対象の試算では、ハイブリッド給湯機の住宅が最も省CO2で、コストではトータルコストにおいてガス
    給湯器潜熱回収型の住宅が優位でした。

 ▷試算結果を踏まえた「ヒートポンプ給湯機」の訴求
  【省エネ省CO2等の観点】
   ・ヒートポンプ給湯機は機器単体の省エネ性が高く、かつ供給電源側のCO2排出係数低減の相乗効果により、
    住宅のカーボンニュートラルに貢献します。
   ・ヒートポンプ給湯機「昼沸」は昼の電気の使用量が増すことから、再エネ出力制御時においてディマンドリス
    ポンスによる更なる再エネ電源の有効活用に貢献します。

  【コストの観点(課題)】
   ・カーボンニュートラルに貢献するヒートポンプ給湯機は、イニシャルコストが高く、機器導入時の支援が必要
    です。特に、集合住宅では手厚い支援が必要と考えます。

 ▷その他の課題
   ・ヒートポンプ給湯機の普及には、コストだけでなく、機器の設置スペースに課題があり、特に集合住宅では
    建物耐荷重等の課題もあります。そのため、カーボンニュートラルに向けて、ヒートポンプ給湯機普及のため
    の喫緊の対策が必要です。
 












〇日本全体に普及した場合の試算結果
  2050年カーボンニュートラルに向けて、住宅用ヒートポンプ給湯機の普及想定※6のもと、日本全体のエネルギー消費量およびCO2排出量の削減効果について試算しました。

 ▷試算結果の概要
   2020年度において、今回実施した試算パターン※5を家庭CO2統計による普及率、国勢調査の世帯数をもとに、
  日本全体に展開した場合の一次エネルギー消費量およびCO2排出量の試算を行いました(図5 X軸:2020年度)。
   次に、2050年度に向けたヒートポンプ給湯機の普及※6、将来のヒートポンプの機器効率の改善※7、かつ将来
  の一次エネルギー換算係数およびCO2排出係数※2を加味した上で、2050年度の一次エネルギー消費量およびCO2
  排出量を試算しました。これを踏まえ、以下のように削減効果を確認しました。

    ✓一次エネルギー消費量 削減効果
      現状固定シナリオ※8における比較  約860万kL削減(約29%削減)
    ✓CO2排出量 削減効果
      現状固定シナリオにおける比較   約2,900万t-CO2削減(約85%削減)
      足元2020年度における比較     約8,300万t-CO2削減(約94%削減)




 ▷試算結果を踏まえた「ヒートポンプ給湯機」の訴求
  ・ヒートポンプ給湯機は機器単体の省エネ性が高く、かつ供給電源側のCO2排出係数低減の相乗効果により、日本
   全体のカーボンニュートラルに貢献します。


〇添付資料
 本News Releaseの内容は、以下の添付資料における試算条件・試算結果をベースにまとめた内容になります。
  ・添付資料1:住宅の試算条件
  ・添付資料2:住宅の試算結果
  ・添付資料3:日本全国へ展開時の試算条件および試算結果

※1)2022年9月1日公表「ヒートポンプ等電化機器の普及見通しに関する調査報告」(以下、既報)を踏まえて、本資料の「〇日本全体に普及した場合の試算
   結果」の試算を行った。そのため、本試算における足元は既報と同じ2020年度に設定した。
                              (https://www.hptcj.or.jp/index/newsrelease/tabid/2009/Default.aspx)
※2 )既報等の一次エネルギー換算係数、CO2排出係数を踏襲した。2020年度CO2排出係数は0.441kg-CO2/kWhとした(添付資料1 スライド14参照)。
※3)本試算のイニシャルコストは設備費用、設備設置工事費用の合計値に対し、設備の平均使用年数で割り戻した単年度イニシャルコストとした。
   ランニングコストはWEBプログラム※4にて試算した単年度エネルギー消費量に対し、エネルギー単価を乗じることで単年度ランニングコストを算出した。
                                                  (添付資料1 スライド15,16参照)
※4)本試算のエネルギー消費量は「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム(WEBプログラム)Ver.3.4 https://house.lowenergy.jp/」に、
   ヒートポンプ給湯機の昼の外気温度を加味した試算ロジック等を追加し、試算した(添付資料1 スライド5参照)。
※5 )本試算ではWEBプログラムをベースに複数パターンの試算を実施し、ガス消費の都市ガス・LPガス区分および冷暖房有無について考慮した。本News
   Release資料の「〇戸建・集合住宅の試算」においては、代表する設備構成の戸建5パターン、集合5パターンの試算結果を抽出し、示した。なお、
   本試算 では、住宅・建築物の省エネルギー基準地域区分における2,3,5,6,8地域における試算を行ったが、本News Release資料および添付資料では
   6地域分の試算結果をもとに報告する(添付資料1 スライド2,9,10、添付資料3 スライド5参照)。
※6 )既報におけるヒートポンプ給湯機等の普及想定および本試算にて設定した設備の普及想定を踏襲した(添付資料3 スライド18~20参照)。
※7 )既報におけるヒートポンプ給湯機の機器効率を踏襲した(添付資料1 スライド11,12参照)。
※8 )ヒートポンプの普及率が足元の普及率を維持し、かつ将来に出荷されるヒートポンプの機器効率が足元の出荷機器の効率と同じ設定とした。
                                                    (添付資料3 スライド4参照)

 

                   
この件に関するお問い合わせ先
一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター 担当 田中
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