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氷蓄熱の方式で外融式、内融式、ダイナミック等々ありますが、それぞれの特徴やメリット、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

氷蓄熱は水蓄熱に比べ蓄熱槽が小さく、熱源機容量の低減化が図れます。蓄熱式空調システムは、蓄熱媒体の種類、蓄熱を利用するシステムの違いによって区分されます。

蓄熱空調方式 (表拡大:(1)(2)
蓄熱媒体 蓄熱の利用形態 システム例
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特徴
熱の
形態
蓄熱材
顕熱 冷水として直接利用 1. 大規模建物向き
2. 二重スラブ空間の有効活用が可能
3. 大型水槽が必要(15~20m3/100kWh)
4. ポンプは大きめ
コンクリート(建物躯体) 建物の床・壁等から直接冷温風として利用または熱放射として利用 1. 中大規模建物向き
2. コンクリートスラブ等を夜間に冷却(加熱)して蓄熱
3. 天井裏、床下等を冷風(温風)通路とし
(1)開口部から室内に吹出して使用
(2)天井面、床面等からの放射熱利用
土壌 ヒートポンプ熱源用 1. 中大規模建物向き
2. 地下帯水層を利用して、昼間のヒートポンプ運転用の熱源水
3. 地形面の制約がある
潜熱 冷水として直接・間接利用 1. 中大規模建物向き
2. 水蓄熱方式より蓄熱槽を大幅に小型化
3. 二次側空調機に冷水を送水して利用
4. ダイナミック方式では氷混じりの冷水を二次側空調機に送水することも可能
5. ブライン式の場合は水熱交換器を介して二次側冷水に利用
熱源システムの高効率化に利用 1. 小中大規模向き
2. 氷蓄熱をエアコンの補助熱源に利用
(1)凝縮器の熱源に利用
(2)冷媒過冷却の熱源に利用
3. 1台ずつの電力負荷平準化は小さいが普及台数が多く全体としての効果は大
潜熱蓄熱材 冷水として間接利用 1. 中大規模建物向き
2. 蓄熱槽内の冷水中に0℃~10℃で相変化するカプセルを投入して利用
3. 水蓄熱槽の蓄熱容量増大化の方法としても利用

社団法人 日本冷凍空調工業会 氷蓄熱システムQ&A p20表2.2

氷蓄熱の方式は氷の形態、製氷方法、冷熱利用方法、熱媒の種類、分離設置への対応等、様々なシステムが提案されています。現在もなお、開発中のシステムもあり、さらに種類が増える可能性もあります。

氷蓄熱の種類 (表拡大:(1)(2)
製氷形態 システム例
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製氷熱媒体 融解方法 冷熱を取出す熱媒体 特徴
スタティック
(静的)
製氷
(アイス・オン・コイル)
冷媒
(直膨)
又は
ブライン
外融式 冷水 1. チューブの外表面に製氷し、氷の外周から融解
2. 低温冷水取出しが可能
3. システムが単純で、ユニット型・現場築造型のいずれにも対応できる
ブライン 内融式 ブライン 1. チューブの外表面に製氷し、チューブの内面より融解
2. 全凍結型のためコンパクトで断熱効果も大きい
3. 氷充填率(IPF)が高い
4. 熱交換器を設置し冷水で利用する
冷媒
(直膨)
冷媒 1. チューブの外表面に製氷し、チューブ内面より解氷
2. 氷蓄熱とビル用マルチエアコンを組合わせた空調システムに利用(個別空調システムへの氷蓄熱の展開を可能化)
3. 氷蓄熱を長時間平均的に使用
4. 氷充填率(IPF)が高い
ダイナミック
(動的)
製氷
冷媒
又は
ブライン
表面散布又は直接熱交換 ブライン 1. リキッドアイスシステム(シャーベット状の氷)
2. 冷凍サイクルが高効率
3. 氷蓄熱槽の分離設置が容易
冷水 1. シャーベット状の氷を生成
2. 蓄熱材料が水道水のみ
3. 製氷時の伝熱特性が一定
4. 蓄熱槽内に製氷設備が不要
カプセル
(潜熱蓄熱材)
製氷
冷水
又は
ブライン
カプセルと間接熱交換 冷水又はブライン 1. 容器に蓄熱材を封入して使用
2. コンパクト
3. 設置形状が自由
4. 既設の蓄熱槽に投入することで蓄熱能力の向上が図れる
5. 凝固(融解)点が比較的自由に設定できる