トップページ > <<< プレスリリース >>> > 2022「令和4年度 ヒートポンプ普及拡大による最終エネルギー消費量及び温室効果ガスの削減効果の見通しについて」
News Release
2022年9月1日
一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター
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ヒートポンプ等電化機器の普及見通しに関する調査報告
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〇カーボンニュートラルに向けたヒートポンプ等電化機器の普及
日本国において、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(2021年10月閣議決定)では、2050年カーボンニュートラル(以下、CN)に向けて、各種対策・施策の方向性が示され、電化可能な分野の電化や、電化が困難な部門では水素の活用(以下、間接電化)等が示されています。
また、直近の「クリーンエネルギー戦略」の中間整理では、産業部門におけるヒートポンプの普及支援や、ヒートポンプ導入が困難な中高温域での電化また間接電化など、具体的な方向性が示されています。
一方、世界的にもヒートポンプへの大きな期待が寄せられており、国際エネルギー機関(IEA)は、COP26議長国英国からの要請に基づき、2021年5月に2050年CN達成のロードマップを発表し、ロードマップの中にヒートポンプによる電化が重要な役割を担うことが示されました。
これらの背景のもと、2050年CNに向けた徹底的な省エネルギーの進展、脱炭素型エネルギー需給構造への転換においては、需要側の電化が必要不可欠であり、ヒートポンプ等による電化がこれまでに増して重要な役割を果たしていきます。
〇ヒートポンプ等電化機器の普及による効果
ヒートポンプ等の電化機器の技術開発動向や適用分野等を踏まえ、電化機器の普及見通しに係る定量的分析(以下、本分析)を行いました。
分析対象は、民生部門(家庭・業務部門)、産業部門、農業部門、その他融雪の分野としています。
本分析は、一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターが2020年8月25日に報告した「ヒートポンプ普及拡大による最終エネルギー消費量及び温室効果ガスの削減効果の見直しについて」をベースに、ヒートポンプ機器の実績情報(機器の出荷状況等)を更新し、試算条件である高位シナリオ※1において民生部門と産業部門における電化対象を拡大させたものとなります。
最終エネルギー消費量、温室効果ガス削減効果及び経済波及効果は以下のとおりです。なお、経済波及効果は「本分析のヒートポンプ等電化機器の普及見通しにおける追加的設備導入増に伴う試算」であり、機器製造の原材料等による生産誘発効果を含めたものです。
ヒートポンプ等電化普及による効果(高位シナリオ※1)
➢ 最終エネルギー消費量削減効果(2020年度 現状固定シナリオ※2基準)
・2030年度:▲1, 177万kL ・2050年度:▲4,178万kL
➢ 温室効果ガス排出量削減効果(2020年度 排出量基準)
・2030年度:▲5,846万t-CO2 ・2050年度:▲25,079万t-CO2
➢ 経済波及効果(直接効果※3+生産誘発効果)
・2030年度:5.1兆円 ・2050年度:8.0兆円
〔雇用創出 18.6万人〕 〔雇用創出 28.6万人〕
現状固定シナリオ※2と比較した場合のヒートポンプ等電化機器普及による最終エネルギー消費量の削減効果の推移を図-1に、分野別・用途別の削減効果の内訳を図-2に示します※4。
また、2020年度を基準にした温室効果ガス排出量削減効果の推移を図-3に、分野別・用途別の削減効果の内訳を図-4に示します※4。
高位シナリオ※1における温室効果ガス排出量の削減量は、2021年10月に地球温暖化対策計画で改定された2030年度の削減目標(2013年度比▲6.5億t-CO2)の約9%、2050年度のCN達成(2013年度比▲14億800万t-CO2)の約18%に相当します。
ヒートポンプは燃焼系機器よりもエネルギー消費性能が高く、また系統電力の再エネ比率向上に必要となる電力需要調整への活用も可能です。
CNを実現させるためには、電力供給側では「電源の脱炭素化の進展」とあわせて、需要側での「ヒートポンプ等の普及による電化促進」および「需要場所での水素製造による間接電化の促進」が期待されており、これらの相乗効果により国内エネルギー消費の約半分を占める熱分野の温室効果ガス排出量を大幅に削減することができます。
そのため、本分析にて提示した高位シナリオ※1を実現させるための官民一体となったヒートポンプ等電化機器の普及拡大に向けた最大限の取り組みが必要となります。
図-1 最終エネルギー消費量削減効果の推移
図-2 分野別・用途別の最終エネルギー消費量削減効果
図-3 温室効果ガス排出量削減効果の推移
図-4 分野別・用途別の温室効果ガス排出量削減効果
※1 2050年度にヒートポンプ等の電化が大幅に推進した場合とする。分析対象はヒートポンプ機器に加えて、
民生部門における次世代電気温水器、産業部門における水素ボイラ化(間接電化)、ならびに工業炉の
電化(直接電化)及び水素バーナ化(間接電化)とする。
※2 2020年度の各ヒートポンプ等の機器のストックシェア及び効率が将来にわたって一定と仮定したケースと
する。
※3 ヒートポンプが販売、設置されることにより発生する経済効果(最終需要額)とする。
※4 最終エネルギー消費量削減効果、温室効果ガス排出量削減効果は、いずれも基準年度、マクロフレームの
将来見通しが異なり単純比較はできないため、あくまで参考とする。
【印刷用】ヒートポンプ等電化機器の普及見通しに関する調査報告
〇本報告の詳細については、以下の添付資料をご参照ください
添付資料1:令和4年度 電化普及見通し調査(報告書)
添付資料2:令和4年度 電化普及見通し調査 第5章(5年間隔データ)2023.5.9追加掲載
【参考】前回のニュースリリース(2020年8月25日)
ヒートポンプ普及拡大による最終エネルギー消費量及び温室効果ガスの削減効果の見通しについて
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この件に関するお問い合わせ先 |
一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター 担当 田中
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〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1丁目28番5号 ヒューリック蛎殻町ビル6階 |
TEL.03-5643-2402 FAX.03-5641-4501 |
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一般社団法人日本エレクトロヒートセンター 担当 渡邉 |
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〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町13番7号 日本橋大富ビル6階 |
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TEL.03-5642-1640 FAX.03-5642-1734 |
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